2017年2月8日星期三

スティーヴン・キング『11/22/63』の感想

11/22/63 DVD』を読まずにこの記事を読む人がいた場合を考え、 これ以上あらすじについては述べないことにする。

JFKの暗殺はどうなったのか。あるいは、それ以上に重要な、1958年から1963年までの五年間、ジェイクはどう暮らしたのかというストーリー。それらは読んだ人たちだけが共有できるとても大切な宝物として、ここに公開しないでおく。

読了したとき、僕は例の喪失感を覚えた。華麗なるペテン師たち DVDいままで目の前にあった、生々しい人物たちの生が消えてしまったというあの喪失感。

11/22/63 DVD


最後の最後は無我夢中でページを繰っていたせいなのかもしれないが、感情が、読了したという事実に追いついていなかった。読み終えたのは夜中の一時だったので、すぐに電気を消し、ふとんに潜り込んだ。目をつむっていると、「大いなる物語」が終わってしまったのだという実感がじわじわと押し寄せてきた。エンディングのシーンが控えめに思い出される。ウエストワールド DVD美しい、これまた映画のような情景だった。
あの場面に漂う甘やかさとせつなさが胸のうちに広がり、やがてそれは喉のあたりまで上がってきて、その一部が、まぶたの裏のあたりをあたたかく押した。

このときに思ったのは、誰かが「この本を読んだ」と話すのを聴いたら、とても大きなものを得られた共通の仲間だと嬉しく思う反面、11/22/63 DVDその内容についてはあまり話さないようにするだろうな、ということ。
小説は、どこか一部の文章を引用して満足できるような、そんな単純なものではないと思う。人間の記憶力が完璧ではないことや、思考の基礎となる言語が直観的な全体把握を苦手とすることから、人はつねに小説の一部分しか認識できないのだと思う。ある箇所を認識しているあいだは、別の箇所を同時に認識できないということ。

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